胴長短足のユニークなスタイルをもつダックスフンド、明るくて活発的な性格をしていて非常に人気があります。彼らに多くみられる神経系の病気ナンバー1、椎間板ヘルニアはご存知の方も多いと思います。
小型犬のわんちゃん達は普段からあまり散歩が好きではないこも多いため、症状に気がつきにくいことが多いようです。進行すると後肢マヒや半身不随になる恐れのある椎間板ヘルニアについて、手遅れの状態になることを減らすために知っておいて欲しいことをあわせてご紹介します。
椎間板ヘルニアとは?
by Tam Tam ,"Dachshund", https://flic.kr/p/d9Ps7
椎間板は、背骨(椎骨)の間に存在し、背骨への衝撃を吸収するクッションの役割をします。このように椎間板はわんちゃんが元気良く動くために大切で、ゼリー状の髄核(ずいかく)とそれを包む繊維輪から構成されます。
ここに何らかの強い衝撃が加わり、変性しもろくなった髄核が繊維輪からはみ出し脊髄神経を圧迫することによって急激におこる障害を、ハンセン1型椎間板ヘルニアといいます。
(ハンセン2型椎間板ヘルニアは加齢に伴う椎間板の変性によりおこる慢性的な障害で、高齢の大型犬によくみられます。)
椎間板ヘルニアになりやすい犬種
by Karolina Lubryczynska, "Fred Dachshund the Greatest", https://flic.kr/p/29ck94
ハンセン1型椎間板ヘルニアになりやすい犬種として、ダックスフンド、ビーグル、ウェルシュ・コーギー、シーズー、ペキニーズなどが知られています。
これらのわんちゃん達は、軟骨異栄養性犬種とよばれ、先天的に軟骨異栄養症という軟骨の形成不全をひきおこす遺伝子を持っています。そのため小さいうちから椎間板(髄核)の変性がおこりやすく、3~6歳の若年齢期に椎間板ヘルニアを発症することが非常に多いです。
症状と治療方法
by Frank Tasche, "resting Dachshund", https://flic.kr/p/hKesyW
椎間板ヘルニアの症状は、椎間板物質がはみ出した位置(発症部位)および脊髄神経の圧迫の程度(進行具合)により異なります。ハンセン1型椎間板ヘルニアは胸部や腰部におこりやすく、背中の痛み、後肢のマヒ、排尿・排便の困難などがみられます。
症状は5段階に評価され、症状が軽い場合はステロイド剤や抗生物質を利用した内科的治療も可能ですが、足先の感覚(深部痛覚)が消失しているグレード5では、神経の圧迫を開放するために早急の外科手術が必要となります。
さいごに
椎間板ヘルニアは発見が遅れると完全に治してあげられることができず、後肢マヒ、半身不随という症状が残ってしまうこともあります。歩きたがらない、触られることを嫌がるなど普段と少しでも違うなと思った場合は、急いで動物病院に相談しましょう。
また、普段から無理な運動はさせない、ソファーやベッドなどにはわんちゃん専用の階段をつける、肥満防止、などわんちゃんの背骨に負担をかけない生活を心がけることが、椎間板ヘルニアの発症および再発を防ぐためにとても大切です。
(記事冒頭写真出典:Tam Tam ,"Dachshund", https://flic.kr/p/d9Ps7)
小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。
女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。