わんちゃんの目の病気は“命には関わらない”と考えられがちなため、多少の目やにや涙の異常だけでは、動物病院を受診する必要はない、と思われてしまう方も多いようです。
しかし潜在する病気があったり、失明の恐れがあったり、または緊急手術が必要となる場合もあるため、他の病気と同じように早期発見・早期治療がとても大切です。
そこで今回は、小型犬のわんちゃん達に多く見られる“ドライアイ”について、その症状、診断方法および治療方法をあわせて詳しくご紹介します。
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犬の目はどのような構造になっているの?
わんちゃん達の目は、私たち人間の目ととてもよく似た構造をしていてます。
外側から繊維膜(角膜および強膜)、脈絡膜、網膜におおわれた“眼球”と、まぶたやまつ毛などの“付属器”から構成されています。
3層の膜におおわれている眼球の内部には、カメラのレンズの働きをする水晶体、ゼリー状の硝子体、さらに眼圧をコントロールする眼房水が入っています。
一方の付属器は、まぶた、まつ毛だけではなく、結膜、涙を分泌する涙腺などが含まれ、目をホコリや乾燥などといった刺激から保護する働きを担っています。
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わんちゃんのドライアイ
角膜を保護する“涙膜”がきちんとつくられず、角膜が乾燥するために慢性的な炎症が引き起こされる病気で、正式には乾性角結膜炎といいます。シー・ズー、ペキニーズ、パグやボストンテリアなど短頭種のわんちゃんをはじめとし、キャバリア、コッカー・スパニエルなどによくみられます。
“涙膜”とは、わんちゃんが瞬きをすることにより、涙腺から分泌される涙などによって角膜の表面に構成される膜のことをいいます。この“涙膜”がきちんと構成されないと、目の表面である角膜が乾燥してしまうだけではなく、瞬きのたびに角膜および結膜(まぶたの裏側)がこすれあってしまい目の表面に傷がついてしまうのです。
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どのような症状がみられるの?
多量の目やにがみられ、瞬きの回数が増えたり目の開閉にトラブルがみられたらドライアイのサインです。
角膜が乾燥するため、目の表面の光沢がなくなり白く濁ったようにみえます。痛みや充血を伴う場合が多く、わんちゃんは頭や目の周りを触れられることをいやがります。
重篤な場合には、角膜に穴があいてしまったり、失明する場合もあるので注意が必要です。
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診断方法は?
シルマー涙液試験という、涙の分泌量を計測するテストが行われます。正常の場合は1分あたり15mm程の涙の分泌量がみられますが、乾性角結膜炎(ドライアイ)に罹患または疑いのあるわんちゃんの場合には10mm以下になります。
また角膜に傷がついたり穴があいていないかの確認のために、フルオレセインによる角膜潰瘍検査などが行われることもあります。
ドライアイの治療方法
治療としては、角膜の保護と涙液成分の補充のための点眼療法が一般的に行われます。
発症には免疫が関与していると考えられており、生涯にわたって点眼を行わなければいけない場合も多く、飼い主さんの精神的および経済的な負担も大きい病気です。
さいごに
わんちゃん達とコミュニケーションをとるうえで、目はとても大切です。いつもと少しでも様子が異なることに気付いたら、すぐに動物病院に相談してください。
小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。
女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。