パグだけの病気ではない!小型犬の飼い主さん達が恐れるパグ脳炎って?
2015/06/04 11:00更新
パグなどの小型犬のわんちゃんが、突然けいれんをおこして死亡してしまうパグ脳炎。一日も早い原因究明が望まれます。

 パグを飼う人であれば一度は耳にしたことがある、パグ脳炎という病気。今なお原因不明の病気であり確かな治療法も定まっていないため、飼い主さん達を不安にさせます。

 実はこの病気、パグに限らず、他の小型犬でも発生が知られているのをご存じですか?パグだけではなく小型犬の飼い主さんは必ず知っておきたいパグ脳炎について、症状および一般的な治療法・予後をあわせてご紹介します。

 

 

パグ脳炎とは?

by Audrey, "Our Pug Sophia",https://flic.kr/p/faawe

 

 パグ脳炎とは、脳に炎症がおき多様な神経症状をひきおこす病気です。病理学的な特徴から、壊死性髄膜脳炎とよばれています。細菌やウィルスなどによる感染が原因ではない非化膿性の脳炎で、進行すると脳が壊死してしまうため、わんちゃんの命の危険に関わります。

 今現在もはっきりとした原因は明らかになっていませんが、遺伝的または自己免疫反応によるものではないかと考えられています。

 

 

どのような症状?

by jmettraux, "pug", https://flic.kr/p/gcDtdo

 

 進行の早い急性型と、徐々に進行する慢性型の2タイプがあり、どちらのタイプにも最も一般的にみられる症状はけいれん発作です。

 急性型では発症から1~2週間で激しい発作により死亡してしまうことが多く、慢性型では発作の再発、ふらつき、同じ方向への回転、失明などの症状がゆっくり進行します。

 

 病気の原因がまだ分かっていないので、パグ脳炎の確かな治療方法は定まっていません。一般的にステロイド剤による内科的療法で症状の改善を目指しますが、残念ながら多くの場合は死亡してしまったり、安楽死されます。

 

 

パグだけの病気ではない?

by Isolino Ferreria, "Pure Joy!", https://flic.kr/p/6DZd5f

 

 この病気は最初の症例がパグで認められ、特にパグでの報告が多いためパグ脳炎と呼ばれています。しかし、実は他のわんちゃん達にもみられる病気です。

 2~3歳以下の若い小型犬での発症が多いといわれ、パグ以外の犬種として、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアン、チワワ、シーズー、ペキニーズ、フレンチ・ブルドッグなどでの発症が知られています。

 

 

さいごに

 パグ脳炎は、パグだけではなく様々な小型犬の飼い主さん達を不安にさせる病気です。予防ができない病気であるからこそ、普段からわんちゃんの様子をよく観察し、少しでもいつもとちがう様子であったら動物病院を受診しましょう。

 一日も早く原因が究明されて、治療方法が確立されることを期待します。

 

 

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【獣医師】vet☆sakura

小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。

女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。