“わんちゃんに与えてはいけない食べもの”として、タマネギやニンニク、チョコレート、香辛料などをまず思いうかべますよね。
実は、私たちの日常生活に欠かせなくなったキシリトール入りのガムやタブレットが、わんちゃんにとってチョコレートの100倍も危険であることをご存じですか?
現在もアメリカにおいて毎年のように報告される、わんちゃんのキシリトール中毒について、原因や症状、治療方法をあわせてご紹介します。
by SimonQ錫濛譙, "明治木糖醇口香糖 檸檬味 " https://www.flickr.com/photos/qiaomeng/5253771176
キシリトール中毒!?
2006年にアメリカ獣医学協会およびアメリカ動物虐待防止協会の動物中毒コントロールセンターが、キシリトールによる犬の中毒例を発表し、日本でも一時期話題になりました。
しかし日本では報告例が少なかったこともあり、タマネギ中毒やチョコレート中毒などに比べ、わんちゃんへのキシリトールの危険性は知られていません。
キシリトールは、カロリーが砂糖に比べ2/3程度しかなく、また虫歯を防ぐ甘味料として、多くのシュガーレスガムやタブレットなどに含まれていますね。
私たち人間にとって欠かせないものとなったキシリトールですが、わんちゃんにとってはとても有害なものなのです。
by Sofía Mp, "Gabbana- RETO SENTIDOS " https://www.flickr.com/photos/mvsmp/12763536205
原因・症状
私たち人間の体の中では、キシリトールによって血糖値をコントロールするインスリンが分泌されることはありません。そのため、糖尿病の患者さんでも安心して使用できる甘味料としても知られています。
しかし、わんちゃんがキシリトールを摂取すると、すぐに体内に吸収され大量のインスリンが分泌されるため、命の危険に関わる低血糖を引き起こすことが知られています。
主な症状として、嘔吐、歩行障害、けいれん、昏睡、肝障害などがみられ、時には死亡してしまう場合もあります。
わんちゃんの体重1kgあたり100mgに相当するキシリトールを摂取すると低血糖を引き起こすと報告されており、市販されているガム数粒を間違えて食べてしまっただけでも命取りとなる危険があります!
by Josh Mazgelis, "Happy dogs" https://www.flickr.com/photos/joshmaz/5771792680
実際に食べてしまったら?
もしわんちゃんがキシリトールを含むガムやタブレットなどを食べてしまった場合は、急いで最寄りの動物病院に連れて行ってあげてください。
現在わんちゃんのキシリトール中毒に有効な解毒剤はありません。そのため一刻も早く対処することが大切です。
目立った症状などがあらわれる前に、ブドウ糖の点滴などによる血糖値の改善が行われれば予後は良好ですが、治療が遅れたり、肝障害や昏睡がみられると予後は悪く非常に危険です。
さいごに
現在も、キシリトールをふくんだわんちゃん用のオーラルケア製品(おやつなど)は販売されています!購入の際には、パッケージの裏面もきちんと確認するなどして、キシリトールが含まれていないかを確認するようにしましょう。
またミントなどの香りが大好きなわんちゃんは多いので、私たち人間用のキシリトールいりガムなどの保管には十分注意をし、大切なわんちゃんを守ってあげてください。
小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。
女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。