動物病院を訪れる小型犬のわんちゃん達の多くが、歯のトラブルをかかえています。
分厚い歯石がついていたり、ひどい口臭があったり、なかには歯がほとんど残っていないわんちゃんもいます。
汚い歯をそのままにしていると、口の中の問題だけではなく、全身の病気につながってしまうことをご存じですか?
そこで今回はデンタルクリーニングについて、小型犬に見られる歯のトラブルとあわせて詳しく説明します。
わんちゃんのお口の中事情
犬の口の中は、pH8.5~9.0とアルカリ性の環境であるため、弱酸性(pH6.5~7.0)の環境である私たち人間とは異なり、虫歯にはなりにくいと言われていますね。
一方でアルカリ性の口内環境は、歯垢の石灰化を促しやすいことで知られています。そのため、犬の歯についた歯垢は人間に比べあっという間に歯石となり、歯と歯肉の間に細菌が繁殖しやすいポケットを作りやすいのです。
特にチワワを始めとする小型犬では、小さな体型に伴い顎の骨も非常に小さいため、歯と歯が密集しガタガタな歯並びとなってしまっていることがかなり多いです。
そのため歯垢が歯にたまりやすく、大型犬に比べると若いうちから歯周病を始めとする歯のトラブルになりやすいため、8歳くらいにはほとんど歯が残っていないという状態も頻繁に見かけます。
小型犬に多い歯のトラブルは、歯周病!
歯垢や歯石に含まれる細菌の繁殖によって引き起こされます。
初期段階には、歯肉が赤く腫れる歯肉炎がみられます。歯肉の色の変化などに気づかず放置してしまうと、歯肉からの出血やひどい口臭がみられたり、さらには歯がグラグラしたり抜け落ちたりしてしまう歯周炎となります。
歯周病が進行すると、口の中の細菌が血流に乗って全身に循環してしまい、心臓や腎臓などに疾患を引き起こし命の危険に関わります!
そのため愛犬の命を守るためにも、ひどい歯垢・歯石については動物病院で定期的にデンタルクリーニングをすることが大切です。
デンタルクリーニングについて
わんちゃんのデンタルクリーニングは麻酔をかけて行われることが一般的です。そのため、デンタルクリーニングを実施する前には、わんちゃんに麻酔をかけても大丈夫か肝臓や腎臓の機能を確認するための血液検査を行います。
また麻酔の作用によって施術中の嘔吐などを防ぐために、デンタルクリーニングを行う前夜は絶水・絶食が基本となります。
デンタルクリーニング当日は、わんちゃんの健康状態を再度確認してから麻酔をかけ、人間の歯医者さんと同じような器具を用いて、歯垢・歯石の除去(スケーリング)、必要があればレントゲン撮影、抜歯、根管治療などを行います。
スケーリング後は歯の表面を研磨剤を用いて磨き、歯垢がつきにくいようして仕上げます。抜歯などのないスケーリングのみのデンタルクリーニングであれば、全工程に1時間もかからず安全性も高いため、多くの動物病院で日常的に行われています。
さいごに
わんちゃんに元気で長生きしてもらうためには、歯周病の予防と早期発見がとても大切です。
子犬の頃からの歯みがき習慣を徹底し、普段からわんちゃんの口の中をチェックしてあげてくださいね。
小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。
女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。