避妊・去勢手術やデンタルクリーニングなどのルーティーン手術を始め、獣医学の進化と共にわんちゃん達にも様々な手術が提供されるようになりましたね。
麻酔をかけて行われる手術の多くは、手術前夜からの絶食・絶水が必要となったり、飼い主さんが責任をもって管理しなければいけないことがたくさんあります。
そこで今回は、手術前・後のわんちゃん達のケアについて、飼い主さん達が特に気をつけてあげたいことについて3つ詳しくご紹介します。
手術前夜の絶食・絶水は本当に必要なの?
わんちゃんが麻酔を必要とする手術を受ける場合、手術前夜の絶食・絶水をきちんと行い、わんちゃんの胃が空っぽになっていることがとても大切です。
麻酔薬の多くは、胃や腸管などの消化管の動きをリラックスさせます。そのため、もしわんちゃんの胃の中に食べ物などが入っていて術中に嘔吐してしまった場合、嘔吐物が気管から肺に入ってしまいやすく、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまいます。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液などの“異物”を肺に吸引してしまい炎症を引き起こしてしまう子犬や老犬などに多い病気ですが、代表的な術後の合併症としても知られています。
たかが肺炎とあなどりがちですが、手術によってすでに負担を受けているわんちゃん達の体にとって、誤嚥性肺炎は命の危険に関わる可能性のある怖い病気です。
もし手術当日の朝などに間違って朝ごはんをあげてしまった場合などには、獣医師にその旨をきちんと伝え、手術日を変更するなどの対応をしてもらいましょう。
わんちゃんがエリザベスカラーを嫌がるときは?
避妊・去勢手術などを始めとする多くの術後ケアのポイントして、患部を清潔に保ってあげることは必須です。
わんちゃん達は本来傷などを舐めて治すという本能があるため、隙さえあれば患部を舐めようとします。しかし唾液には様々な細菌が含まれているので、患部を舐めてしまうとそこから細菌が入り化膿を引き起こし、治癒に時間がかかってしまいます。
そこで動物病院から“エリザベスカラー”が渡されますが、一般的なものはわんちゃんの頭全体を覆うプラスチック製のもので、わんちゃんだけではなく、飼い主さんにとっても負担が大きい場合もあります。
わんちゃんの負担を減らすためにも、飼い主さんがしっかりと監視していられる時やご飯を食べる時などには外してあげたり、またグルーミングもいつも以上にしっかりしてあげると良いでしょう。
小型犬のわんちゃん達には、エリザベスカラーをつけると怖くて動けないというこもみられますので、そのような場合には、布製ドーナッツ状のカラーや、患部を含む体全体を覆うボディースーツ状の保護服なども市販されていますので、代用してみることをお勧めします。
わんちゃんの事を一番分かっているのは飼い主さんです!
ルーティーン手術の多くの場合、わんちゃん達が麻酔からさめしっかりしていれば、術後数時間で帰宅することが一般的です。
手術当日は麻酔の作用から、いつもより元気がなかったり様子が違うということはよくあります。また獣医師の指示に従って、水やフードを少しずつ与え、嘔吐しないかをきちんと確認することも大切ですね。
術後数日間は痛みなどもありますので、きちんと処方された痛み止めなどを飲ませ、必要以上のお散歩や運動は避け、できるだけ安静にしてあげましょう。
術後のケアとして一番大切でありながら飼い主さんにしかできないこと、それはわんちゃんの健康状態の変化に気づいてあげることです。
わんちゃんの様子が急変したり、何かいつもと違うと思ったら、すぐに動物病院に相談してください。
小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。
女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。