祝ノーベル賞受賞!わんちゃん達の命を救うフィラリア予防薬の元となったエバーメクチン
2015/11/01 11:00更新
わんちゃん達の寿命も引き伸ばしたといわれる寄生虫薬が、日本人研究者による地道な努力によって発見された菌が元となっていたとは非常に感慨深いです。

2016年度ノーベル医学・生理学賞を日本人である大村智・北里大学特別栄誉教授が受賞し、日本はお祝いムードに包まれていますね。
今回の受賞理由となったエバーメクチンという駆虫薬の発見が、わんちゃん達が毎月お世話になっているフィラリア予防薬“イベルメクチン”につながったことは、すでにご存知の方も多いのではないでしょうか?
わんちゃん達の寿命が延びたことに貢献したといわれるフィラリア予防薬“イベルメクチン”について、元となったエバーメクチン、獣医学への応用をあわせてくわしく説明します。

 

地道な努力によるエバーメクチンの発見

https://flic.kr/p/dTw4ga

日本各地の土壌サンプルを収集し薬に使える物質を作り出す微生物がいないかを地道に調べていた大村教授は、1978年に静岡県伊東市川名で収集された土壌サンプルから新種の放線菌Streptomyces avermitilisを発見しました。
その後、大村教授と共同研究をしていた米製薬大手Merck 社キャンベル氏により、この菌から抽出された物質がマウスに寄生する寄生虫に対して駆虫効果があることが確認され、エバーメクチンとして同定・報告されました。

 

イベルメクチンの開発

https://flic.kr/p/4nD5Ay

大村教授とキャンベル氏はさらなる研究を重ね、エバーメクチンの構成分子の一部を変換し、寄生虫や昆虫など節足動物の神経に作用し少量の投与で高い駆虫効果を発揮するイベルメクチンを1981年に開発しました。
開発当初は牛や豚を始めとする家畜やペットの寄生虫駆虫薬として販売されていましたが、その後の研究により人間の感染症に対しても有効であることが判明します。
なかでもアフリカや中南米の風土病として知られ年間数万人の人を失明に陥れていた“オンコセルカ症”に劇的な効果を示し、世界保健機関WHOを通して現地への無償提供を行ったことで知られ、将来的な撲滅が期待されています。

 

獣医学への応用;フィラリア予防薬

イベルメクチンは世界で最も使われる動物用医療薬としても知られており、わんちゃん達が毎月お世話になっているフィラリア症予防薬もその1つです。
フィラリア症は、蚊による吸血によってDirofilaria immitisという寄生虫(フィラリア、犬糸条虫)がわんちゃんに寄生することによって、肺や心臓などに障害を引き起こし命にかかわる病気です。
イベルメクチンは、体内に侵入したフィラリア幼虫が成虫になる前に駆虫することで、わんちゃん達をフィラリア症から守ってくれます。
今回“人類に計り知れない恩恵をもたらした”と称えられノーベル賞受賞となったエバーメクチンの発見は、わんちゃん達の寿命を大きく引き伸ばしてくれたといっても過言ではありません。

 

さいごに

https://flic.kr/p/fiuENb

今回の大村智・北里大学特別栄誉教授のノーベル賞受賞は、同じ日本人としてだけではなく、愛犬家としても非常に嬉しいニュースです。
12月10日にスウェーデン・ストックホルムで行われるノーベル賞授賞式における、大村教授によるスピーチがとても楽しみです。

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vet☆sakura

小さい頃からの夢であった動物のお医者さんを本業としながら、主婦・フリーランスライターとして日々奮闘中。

女王様のような高齢ハスキー、食べることが大好きなビーグル、猫2匹と一緒に暮らしています。

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